[メイン]
イフリータ :
▼導入:みんなのたまり場
小学生の仲良し4人組である君たちは、夏やすみを満喫中だ。みんなでいつものたまり場に集まっている。
最近あった面白いこと、家族のことなどを語り合っている。
君たちのうち誰かが、1週間後に開催する夏まつりについて話し始めた。それに興味を持ち、みんなで夏まつりに行くことになった。
▼結末
そんなこんなで一旦解散! 夏まつりまであと1週間。準備をしたり、楽しいことをいっぱいやろう。夏まつりの花火大会で、今まで言えなかったことを絶対に言うんだ!
[メイン] イフリータ :
[メイン] イフリータ :
[メイン] イフリータ :
[メイン]
イフリータ :
じりじりと、太陽の日光の熱は、地面を焦がすほどに照り付けている。
雲隠れすらない青空が、今は広がっている。
[メイン]
イフリータ :
今は夏。それも夏休みという、小学生に与えられた長期の休み。
羽を伸ばしたり、思いっきり遊ぶことだってできる日。
[メイン] イフリータ : 「だっていうのに、なんでオレサマはホシューを受けないといけないんだ!」
[メイン]
イフリータ :
チェッ、と石ころを蹴飛ばしながら、学校から足を踏み出す。
[メイン]
イフリータ :
イライラと、真夏の日だというのに湯気が出るほどの怒りを抱えながら。
ずんずん、と一歩一歩踏みしめるように歩く。
[メイン]
アーニャ :
「おーーーーーーーい!」
みーんみんと蝉の声がする真夏の太陽の下、ピンク色のミディアムヘアと
グリーンアイの、元気そうな女の子が、学校の外でイフリータへと手を振っている。
[メイン]
イフリータ :
……大体、オレサマにはこんな事をやってる暇はねェんだ。
”時間”は、全然足りねェ……!
[メイン]
アーニャ :
猛暑日ということもあり、汗も当然だらっだら。
しかしそれを苦に感じさせないほどの、元気さ。
イフリータへと、満面の笑みで、大きく手を振っていた。
[メイン]
イフリータ :
ぎゅっと、拳を握り締めて。
まるでちかっと、その手の中が”光った”ように見えたが。
[メイン]
アーニャ :
そして一瞬、目を丸くしながらも
すぐさま、もとの元気そうな顔に戻る。
[メイン]
白坂小梅 :
その隣に遠慮がちにたたずむ
線の細い少女
[メイン] イフリータ : 「……アーニャ!? なんでオマエが?」
[メイン] アーニャ : 「ふっふっふ~!アーニャだけじゃないよ!」
[メイン] アーニャ : ニマニマとした表情でイフリータを迎え。
[メイン]
白坂小梅 :
「私も…いる…」
[メイン] アーニャ : 「イフリータの帰り、待ってた!」
[メイン] 幽谷響子 : アーニャの後ろから、にゅっと出て。
[メイン]
イフリータ :
ブロンドの髪色をしたツインテールの少女は、目を丸くするように。
小走りに、彼らへと近づき。
[メイン]
アーニャ :
小梅と響子に、ねー!と賛同を求めながら。
再び、イフリータの方を向き、ニッコリ笑顔。
[メイン]
幽谷響子 :
「おはよーございまーす!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
[メイン] アーニャ : 「どひゃああああああああああああああああああああ!?!?」
[メイン] アーニャ : ア、アーニャ!響子の大声、まだ慣れない……!!!
[メイン]
イフリータ :
「ああ、小梅もいたのか!オマエは影が薄いな!」
完全に超失礼な言葉を、がっはっは!と気にする様子もなく笑っていれば。
[メイン] イフリータ : 「おがああああ~~~~!?!??!?!?!?!?」
[メイン]
白坂小梅 :
「むう…」
しかめっ面になる
[メイン] 幽谷響子 : にかっと、夏の風に今では少し古めかしいような服を着た緑髪の少女が…
[メイン] アーニャ : すってーんと、思わずスッ転びそうになる。
[メイン]
幽谷響子 :
「あっ!」
やっちゃった!
口を手で押さえるけど一度出た声が戻るわけではない。
[メイン]
イフリータ :
「お、オマエは存在感があり過ぎだッ!!!!」
と、響子と同じくらいの声で張り上げつつ。
[メイン]
幽谷響子 :
「ごめんなさーい!」
笑顔で謝る。
[メイン]
イフリータ :
「む、あーー……わりぃ!
なんだ、待ってくれてて、嬉しかったっつーか……」
と、しかめっ面の小梅に、ぺこ、と小さく頭を下げて。
[メイン] アーニャ : 「き、響子なら……いい」
[メイン] アーニャ : なんとか態勢を整えつつも、マスコットキャラクターみたいな顔になる。
[メイン] イフリータ : う……オレサマもすまん、と響子にも頭を下げながらも。
[メイン]
白坂小梅 :
(……)
それには意味深に何も言わない
[メイン]
イフリータ :
「てか、待ってくれて良かったのか?
オマエらも……やりたい事とかあったんじゃねェの?
もう済ましたのか?」
[メイン]
アーニャ :
「ふっふっふ~……!」
ドヤ顔をイフリータに向け。
[メイン]
白坂小梅 :
「んー…ほかにやることもなかったから」
[メイン]
アーニャ :
「実はもう、宿題は全部、終わらせた!
あとはもう、みんなと一緒に遊ぶだけ!」
[メイン] アーニャ : ドヤァッッッ。
[メイン] 幽谷響子 : 「なので!イフリータちゃんと遊ぶのがぁ、やりたいことだったってことですよ!」
[メイン]
イフリータ :
イフリータは乱暴者で人の悪口を平気で言うような人間だった。
しかし、悪気があるわけではないので、謝られたり、嫌そうであればすぐに謝る素直さは持っていた。
[メイン]
アーニャ :
「それに、イフリータもアーニャの大事な友達!
待つことくらい平気へっちゃら!」
[メイン]
イフリータ :
「なッ……!? オレサマまだ終わってねェぞ!?」
と、アーニャの速さに口を大きく開きつつも。
[メイン] 幽谷響子 : 「ほー?アーニャちゃん”も”宿題を終わらせているとは感心感心!」
[メイン]
アーニャ :
「ふふふ~!それなら宿題のお手伝いも、してあげなくもー……ない!」
アーニャに偉そうな顔をしつつも、響子の方を向け……目線を逸らす。
[メイン] 白坂小梅 : 「両極端…」
[メイン]
アーニャ :
何故か、冷や汗。
ひゅ~ひゅ~と、口笛になってない。
[メイン]
イフリータ :
「そ、そういう事を言われると……
……なんつーか、いい奴らだな」
頬を搔きながらも、待ってくれていた三人に、不器用な感謝を述べつつも。
[メイン]
幽谷響子 :
「? 算数の五問目ってすごい難しかったですよね!わったし三時間くらいかかっちゃいましたよー!!」
それに引き換え。アーニャちゃんはこんなに涼しい顔で…!
[メイン] アーニャ : 「え゛ あ、あーー、ソーーデスネーーー!ムズカシカターー!!」
[メイン]
白坂小梅 :
「……?」
何か違和感を感じつつ
[メイン] アーニャ : 目がまん丸になり、ぎこちない外国人のような喋り方になりつつも。
[メイン] アーニャ : 「そ、そーだ!小梅!」
[メイン] 白坂小梅 : 「…なあに?」
[メイン] アーニャ : 「さっき話してた面白いこと!イフリータにも共有!」
[メイン] アーニャ : 話題を逸らすように、小梅の方を向き。
[メイン]
イフリータ :
「うぐぐぐぐぐ………!!」
と、アーニャの自慢げな顔に、悔しそうに歯ぎしりしながらも。
[メイン] 白坂小梅 : 「…どれのことだっけ?ジェイソンの新作?新しい都市伝説?それとも…」
[メイン]
イフリータ :
「ん~?
なんだよ、おもしれェもんでもあったのか?」
[メイン]
アーニャ :
さらに冷や汗だらだら。
考え無しに話題を振ってしまった様子だ。
小梅のホラー話、割と怖かったアーニャであったのに、もう忘れている。アホ。
[メイン] 白坂小梅 : 「近頃頻発するボヤ騒ぎ…とか?」
[メイン]
イフリータ :
「……げげっ!?!?
そういうのはナシっつって……!?」
[メイン]
アーニャ :
「あ、あーーー……火遊びしてるやつ……」
ちらりと、イフリータの方を見やりながらも、視線がさらに泳ぐ。
[メイン]
幽谷響子 :
「あ~!似たような話、聞いたことあるかも!
夜、真っ赤な人魂が飛んでるのを見かけたみたいな……!」
頷きながら補足。
[メイン]
イフリータ :
小梅のホラーは、面白くはあるのだが、いかんせんイフリータに怖い……のだが。
……その続く話に、汗がだくだくと。
[メイン] 幽谷響子 : 「たしか、火元とか燃え残ったものが見つからないのにそういう噂が増えてるんでしたっけね!」
[メイン] イフリータ : 「ソ、ソウイウノガアルナンテアブネエナーーー!」
[メイン]
白坂小梅 :
「頻発してるのにつかまらない…これはホラーかもしれない」
ふんすと鼻息を強める
[メイン] アーニャ : (・~・;)
[メイン] アーニャ : 「─────そうだ!!!」
[メイン] アーニャ : 冷や汗を垂らしながら、指をピーンと立てる!
[メイン] 幽谷響子 : なんで二人共カタコトになるの?流行り?
[メイン] 幽谷響子 : 「!」
[メイン] 白坂小梅 : 「?」
[メイン]
イフリータ :
バタバタと、Tシャツを仰いで風を体に入れる。
あーー、暑いなッーー!
[メイン] アーニャ : 「ほ、ほら!そういえば……1週間後!夏祭り、ある!」
[メイン]
イフリータ :
「……な、なんだよ!アーニャ!!」
どきどきどき!!!
[メイン] 白坂小梅 : 「そういえば…もうそんな季節…」
[メイン] アーニャ : 「アーニャ、イフリータに、小梅に、響子、みんなと行きたい!」
[メイン] アーニャ : それはまるで、イフリータの話題を逸らしているかのような素振りであった。
[メイン] 幽谷響子 : 「ああーー……」
[メイン]
イフリータ :
「…………夏祭り?あ、あぁ……確かにあったな……」
[メイン] アーニャ : 「行き~~~~~……たい!!」
[メイン] アーニャ : 3人に猛烈アピール。
[メイン]
イフリータ :
うんうん、と腕を組み頷く。
……アーニャ、ナイスだっ!!!!と、内心思いつつ。
[メイン]
幽谷響子 :
「実は!それ、私も行きたいなって思ってたんですよー!!」
少しだけぼうっとした顔を浮かべてから大声で賛成。
[メイン]
白坂小梅 :
「お祭りをやる神社にも…妖怪の目撃情報がある…私は行ってもいいよ」
見事に煙に巻かれる
[メイン] アーニャ : 「どわぁああっ!?と、唐突の大声!禁止!!」
[メイン] イフリータ : 話題が完全に逸れたことに、ほっ……と安堵したような顔を見せつつも。
[メイン] アーニャ : 「よ、妖怪……」
[メイン]
イフリータ :
「行った事はねェけど、花火って奴がキレーに燃えるんだろ?
なら面白そうだなー、ヒヒッ!」
[メイン] アーニャ : 汗がたらりと、ちらりと響子の方を向き、また視線が泳ぐ。
[メイン]
白坂小梅 :
「……」
大声を上げる友人を左目でチラ見
[メイン] 幽谷響子 : ごめんなさーい!!と言おうとしたけど、また大声になるので頑張って頭だけぺこぺこした。
[メイン] 幽谷響子 : 「妖……怪……!」
[メイン]
アーニャ :
「そ、そう!!花火、すっごく綺麗!……らしい!」
イフリータの方を向き。
[メイン] 幽谷響子 : 「ソンナノイルンデスネーーーーーーーーーーーーーー!!!」
[メイン]
イフリータ :
おわぁっ!!!と、声にまん丸と目を大きくする。
……こ、コイツのでけえ声は、慣れねェ……!
[メイン]
白坂小梅 :
「……」
その様子にさらに凝視する
[メイン]
アーニャ :
「あ、あと、焼きとうもろこしとか……!!!」
響子のカタコト外国人喋りになってるのを見て、マスコットキャラクターのような顔になりながらも。
[メイン] 幽谷響子 : 目が泳ぐ。それはもう泳ぐ。泳ぎまくる。
[メイン] 幽谷響子 : 「ほらあと…人魂とかね!そっちの方も楽しいと思いますよ!ね!」
[メイン] アーニャ : こめかみの部分に指を置き、ぐりぐりぐりぐり。
[メイン]
アーニャ :
「はぅあっ………!?」
響子の発言に、さらに冷や汗だらだらだら。
[メイン] イフリータ : アーニャの様子に、目を真ん丸としつつ。
[メイン]
白坂小梅 :
「あ、うん…」
そっちもあったねとまた煙に巻かれる
[メイン] アーニャ : イフリータの方を向き、視線が泳ぐ。
[メイン]
幽谷響子 :
「小梅ちゃんこの前人魂だけでご飯3杯行けるっていってましたよね!!」
多分言ってない。
[メイン] アーニャ : 魂食い……!?
[メイン] アーニャ : 普通にギョッとするアーニャ。なんかその発言を本気で信じてそうな顔。アホ。
[メイン] 白坂小梅 : 「うん…おかずには困らないよ。むしろご飯が欲しいね…」
[メイン]
アーニャ :
「うぉぉ……」
マスコットキャラクターのような顔になる。
[メイン]
幽谷響子 :
えっ。いけるの?
えっ…。
[メイン]
イフリータ :
なんつーか……アーニャってせわしねえな。
よく話を変えてるっつーか、キョドウフシンっていうか……
……炎の話も、そんな続かなかったし……
[メイン] アーニャ : 「……と、とととと、とにかく!今日は!えっと……!」
[メイン] 白坂小梅 : 「スプラッタで食欲なくなるという人も多いけど…私はその逆…」
[メイン] アーニャ : 「小梅のおうちで!映画観賞会?です!!」
[メイン]
アーニャ :
小梅の方をちらりと見てしまうも、"スプラッタ"という発言と共に
小梅の脳内に浮かび上がる─────。
[メイン]
イフリータ :
もしかしたら、気持ちがわかってたりしてな!
……ま、それなら今も読まれてるか!あるわけねえな!
[メイン]
幽谷響子 :
小梅ちゃん、目が時々怖いし。
妖怪って、スプラッタや人魂と同じところに入るのかしら…!?
[メイン] アーニャ : (・)(・)
[メイン] 白坂小梅 : 「13日の金曜日・エルム街の悪夢・ジェイソンVSフレディの豪華セットだよ…」
[メイン] アーニャ : 「うぷっ……!?」
[メイン]
イフリータ :
「うげ……!?
お、おい……!見るものは選べよな……!」
[メイン] 幽谷響子 : 「アーニャちゃん!?」
[メイン]
アーニャ :
小梅の脳内に流れる、ジェイソンがフレディの体を持ち上げ
そのまま家の壁を突き壊していく映像と、その鮮明なグロさに……。
[メイン] アーニャ : 「ダ……ダイジョ………うっぷぉっ!!!!!」
[メイン]
白坂小梅 :
「メメントモリ…汝、死を忘れるなかれ…」
新たな恐怖イメージが次々と生みだされていく
[メイン]
幽谷響子 :
「うわーーーーーーっっっ!!!!!」
急いでアーニャの背中をさする。
ついでにのように耳元で大声。
[メイン]
イフリータ :
前に見た映画鑑賞会では、散々だった。
だらだらと汗を流しながらも、横目を見れば、アーニャの様子に目が丸く。
[メイン]
アーニャ :
「 」
そして、真っ白になる。
響子の叫びも相乗効果となり、アーニャの体力を奪っていったとさ……。
[メイン] アーニャ : 今日も、蝉の鳴き声が聞こえる。
[メイン] アーニャ : 生命の息吹を感じるような、暑い季節の中。
[メイン] アーニャ :
[メイン] アーニャ : ……イフリータ、小梅、響子……みんな、色んな想いが、ある……!
[メイン] アーニャ : それと……人に話したくないもの……。
[メイン] アーニャ : ─────アーニャは、それを、知ってしまっている。
[メイン] アーニャ :
[メイン] アーニャ : そう、この少女は、心が読めるのであった。
[メイン] アーニャ : 宿題も全て、響子の脳内にあった映像をそのまま書き写していただけであり。
[メイン]
アーニャ :
イフリータが隠したい秘密、そして響子が隠さなければならないもの
それらもアーニャには、見えていた。
されど、それを打ち明かすことは、決してない。
[メイン] :
[メイン] : 『アーニャ、その力のことは、誰にも話してはいけないよ』
[メイン] : 『さあ、"勉強"の時間だよ、アーニャ』
[メイン] アーニャ : 『……アーニャ、おえかきしたい……』
[メイン] アーニャ : ─────これは、アーニャの幼い頃の記憶の、断片。
[メイン] : 『そんな幼稚なことはしなくていい』
[メイン] : 『おまえの力は、世界の平和に役立てねば』
[メイン] : 『泣いてるヒマなんかないぞ』
[メイン] : 『遊んでないで 勉強だ』
[メイン] :
[メイン] アーニャ : ……アーニャ、秘密がバレちゃうことの、怖さ、知ってる。
[メイン] アーニャ : だから、みんなのことも、心配。
[メイン] アーニャ : ………でも、それだけじゃ、きっとだめ。
[メイン] アーニャ :
[メイン] アーニャ : SPY×MISSION
[メイン] アーニャ :
[メイン] アーニャ :
[メイン] アーニャ : 目的:友だちの悩みを解決する
[メイン] アーニャ :
[メイン] アーニャ :
[メイン] アーニャ : アーニャ、頑張る……!!!
[メイン] アーニャ :
[メイン] アーニャ :
[メイン] アーニャ :
[メイン]
アーニャ :
▼まつりのお手伝い
夏まつりの準備のお手伝いを(助演)と一緒にやることになった! 大人たちが準備で忙しそうにしている。ぼくたちもやることがいっぱいだ!
★キーワード
気になる出店、踊りの練習、ありがとう
[メイン]
アーニャ :
主演:アーニャ
助演:響子
[メイン] アーニャ :
[メイン] アーニャ : ─────祭りまで、残り6日。
[メイン] アーニャ : もう既に、気になる出店が多く立ち並び、準備が始まっている中。
[メイン] アーニャ : 「響子のちちの出店のお手伝い、する!」
[メイン] 幽谷響子 : 「ありがとうございまっす!!!!!!!!」
[メイン] 幽谷響子 : 箒で出店の前を掃除している
[メイン] アーニャ : 元気よく、響子にお手伝いを志願するアーニャ。
[メイン] アーニャ : 「どれをやったらいい……のかな?」
[メイン] アーニャ : 響子をじっと見て、心の色を見ようとする。
[メイン]
幽谷響子 :
「実は毎年人手が足りなくてーーー!!」
屋台の設営は、さすがに子供には任せられない。
[メイン] アーニャ : そして、出店周りに置かれている物を見やりながら。
[メイン] アーニャ : 「わっ……やっぱり、屋台って、大変……」
[メイン] 幽谷響子 : うちのお寺は小さなわたあめ屋さんを毎年開いている。
[メイン] 幽谷響子 : 「この櫛とか!並べて貰っていいでしょうかー!!!」
[メイン] アーニャ : 「……響子のちち、それでもお店を開いてて、すごくえらい!」
[メイン] アーニャ : ん!と返事をし、強く頷く。
[メイン] アーニャ : 「ふっふっふ、このアーニャに、お任せあれ!」
[メイン] 幽谷響子 : そして作業がてら話を。
[メイン] 幽谷響子 : 「結構なお歳なんですけどねー!!」
[メイン] 幽谷響子 : 住職さんは既に老人と言っていい年齢で、響子の父というよりはもうおじいさんに見えるだろう
[メイン] アーニャ : アーニャも綺麗な櫛を並べていきながら。
[メイン] アーニャ : 「むむむ……じゃあやっぱり、すっごく大変……」
[メイン] アーニャ : ふと、そんな中気になることがあり、響子の方を向き。
[メイン] 幽谷響子 : 「?」
[メイン] アーニャ : 「……響子のちちはどうして……ア」
[メイン] アーニャ : 何故、響子を拾ったのか?というような質問を投げようとするも。
[メイン] アーニャ : それは!心を読んでしまっていることが、バレてしまう!
[メイン]
アーニャ :
「あ、え、えとえとえと……ど、どうして!こうして
色々と、お手伝いとか、してるのでしょうか!」
[メイン]
アーニャ :
なんとか努力し、違う質問を投げかける
最悪の未来だけは、なんとか回避しようとする。
[メイン] 幽谷響子 : どうして、という言葉に、心に小さな緊張の黄色が滲むように見えたかもしれない。
[メイン] 幽谷響子 : それがすぐに霧散して。
[メイン] 幽谷響子 : 「子どもがね、好きらしいんですよ!すっごく優しいんですよね!!!」
[メイン]
幽谷響子 :
元々身寄りのない響子を拾ったのも、それだけのお人好しだったからである。
すぐに心は穏やかになった。
[メイン]
アーニャ :
ふむふむ、と頷きながら。
興味深そうに聞く。
[メイン]
アーニャ :
……アーニャのちちと、似てるかも。
ひょっとして、似たもの同士……だったり?
[メイン] 幽谷響子 : ひろがる景色、夏祭りの景色に目を向けながら。
[メイン]
アーニャ :
「……アーニャも、そういう人、すっごく尊敬するし
……そういう人に、なってみたいかも」
[メイン] アーニャ : 同じく、響子の見る、夏祭りの準備中の景色に目を。
[メイン]
幽谷響子 :
「お父さん…お父さんって、良いですよね」
本当の家族ではない。だから、お父さんとアーニャが言うのは嬉しいことだ。
[メイン] アーニャ : 「……………」
[メイン] アーニャ : 響子の境遇は、知っていた、だからこそ─────。
[メイン] アーニャ : 口元を、結んでしまう。
[メイン] 幽谷響子 : 「……?」
[メイン] アーニャ : 「………アーニャも……アーニャのちちも、いい人」
[メイン] アーニャ : 「本当のちちじゃないけど、でもいいちち」
[メイン] 幽谷響子 : 響子には心が読めるわけじゃない、でもその様子には何かあったとわかって。
[メイン] 幽谷響子 : 「それって…?」
[メイン] アーニャ : あっさりと、自分の秘密を明け渡す。
[メイン] アーニャ : 「…………ヒミツ!」
[メイン] アーニャ : 響子の秘密を知っておいて、自分の境遇を話さないというのはなんだが……
[メイン]
幽谷響子 :
「ヒミツ!」
秘密かー!!!
[メイン] 幽谷響子 : 「ん~…でも、そうですね!アーニャちゃんのお父さんはとてもいいひとなんでしょう!!!」
[メイン]
アーニャ :
まるで、区別……差別?……区別、してるみたいだった。
不誠実だと、思ったから。
[メイン] 幽谷響子 : 「だって、アーニャちゃんがこんなにいい子だから!ね!!」
[メイン]
アーニャ :
「えへへへ……!そーです!アーニャのちちも
響子のちちと同じくらい!立派!」
[メイン] アーニャ : 「……!………アーニャ、いい子……」
[メイン] アーニャ : 響子の言葉に、目を丸くし、感動したような表情になりながら。
[メイン]
幽谷響子 :
「よしよし、アーニャちゃんのおかげで大分助かりましたよ!!
ちょっと休憩にしましょう!!」
[メイン] アーニャ : ……でもアーニャ、嘘吐き。
[メイン] 幽谷響子 : 作業を置いて、いったん額の汗をぬぐう。
[メイン] アーニャ : いい子なら本当は、嘘をついてはいけない。
[メイン] アーニャ : 「……ん!アーニャも、そうする!」
[メイン] アーニャ : そんなアーニャの額にも、汗がびっしゃりと。
[メイン]
幽谷響子 :
少し暗い顔をしたアーニャに。
屋台の後ろの方を向いて。
[メイン] 幽谷響子 : 「住職さ……」
[メイン] アーニャ : 「?」
[メイン] 幽谷響子 : 「…お父さーん!!!わたあめ、2つ作ってくださーい!!!」
[メイン] アーニャ : お仕事後の余韻の中、小首を傾げながらも。
[メイン] アーニャ : 「!!!!!」
[メイン] 幽谷響子 : がんばった証にこれくらいあってもいいでしょ!
[メイン]
アーニャ :
それはまるで、秘密道具!
疲れ切った体に、潤いを齎すもの!
[メイン] アーニャ : 「やったーーー!!」
[メイン]
幽谷響子 :
その笑顔に、未来最高!という予感を感じつつ……
ひとまず、今日の準備はこれでおしまい。
[メイン]
アーニャ :
ぴょんぴょんと跳ねながら、夏祭りの準備のおこぼれをいただくアーニャ。
やっぱり友達と過ごすこの時間も、この街も、大好き!
[メイン] アーニャ :
[メイン] アーニャ :
[メイン] アーニャ :
[雑談] system : [ アーニャ ] フラグポイント : 0 → 1
[メイン]
白坂小梅 :
[メイン]
白坂小梅 :
[メイン]
白坂小梅 :
[メイン]
白坂小梅 :
「めしくれさん…って知ってる?」
小梅はバーベキューの日を起こすのに苦戦しながらそんなことを口ずさんだ
[メイン] イフリータ : 「ああ~……?なんだそりゃ」
[メイン] イフリータ : どいてな!と小梅の代わりに火をつけようも……上手く行かないようで。
[メイン] 白坂小梅 : 「飢え死にした犬の幽霊で…そうやって飯を集ってくるんだけど…そのまま飯を上げると5cmになって死んじゃうんだって」
[メイン]
イフリータ :
……めしくれさんってなんだ?
まるで都市伝説みてえなアレだけど、なんかマヌケな感じだな……
[メイン] 白坂小梅 : 「だからそういわれた時は…『はいうんち』っていうの。そうしたら助かるんだよ…」
[メイン] 白坂小梅 : 「以上…都市伝説めしくれさんでした…」
[メイン] イフリータ : 「………!!!」
[メイン] イフリータ : ごくり、と息を飲みつつも。
[メイン]
イフリータ :
「助かるだけ……なのか?
断末魔でも上げるわけじゃねェんだな……」
[メイン] イフリータ : ドッキリな展開が来ると思っていたら、何となく拍子抜けだ。
[メイン] 白坂小梅 : 「断末魔はあるよ」
[メイン]
白坂小梅 :
「くそが…くそがああああああ!」
って恨みをこもった声を上げるんだって
[メイン]
イフリータ :
しょうがないので、イフリータは”放火”させた。
ぼうっと、余韻すらなく、バーベキュー装置に火が付き。
[メイン] イフリータ : 「うぉぉおおっ……!?」
[メイン] イフリータ : 小梅の、本当に恨みが籠ったような声に、目を真ん丸としつつ。
[メイン]
白坂小梅 :
「あ!ついた!」
話に夢中になっていたのが拍手喝采
[メイン] 白坂小梅 : 「次はどの話にする?滲み出す混濁の紋章、不遜なる狂気の器、爬行(はこう)する鉄の王女、絶えず自壊する泥の人形っていう4つがあるけど」
[メイン]
イフリータ :
「へへっ!」
褒められ、普段にはないふんわり笑顔を見せながらも。
[メイン]
イフリータ :
「……!? おいおいストックありすぎだろ!
……つーか、どうやってそんなに仕入れてくるんだ?」
[メイン] 白坂小梅 : 「それはもう…ホラーマニアたちとの井戸端会議だよ」
[メイン] イフリータ : ゾンビだのバイオレンスだの……崩壊する日常的な、物語を仕入れてくることが多い。なんだってんだ?
[メイン]
イフリータ :
「井戸端……ははぁーん、こういうのが好きな奴ってわけねえ……
毎度真に迫ってるから、”本物”にでも会ってるのかと思ったぜ」
[メイン]
白坂小梅 :
「う~ん…会ってるといえば」
そういいつつ顔を覗き込む
[メイン] 白坂小梅 : 「どうだろうね?」
[メイン]
白坂小梅 :
「崩壊する日常ものって…好き…?」
不穏な空気を醸し出す
[メイン]
イフリータ :
と、平気そうな顔をしているも、汗がだらだら。
苦手なホラー話を面として投げられており、反響はとても大きい。
[メイン] イフリータ : 顔をのぞき込まれ、ぞくりと背筋を、直線に伸ばし。
[メイン]
イフリータ :
「……やけに具体的だな……!?
……そういうのは、す、好きってわけでもねえが……」
[メイン]
イフリータ :
……全くつかみどころない奴だよなァ、小梅って……
でも、こういう話も、もう聞けない……
[メイン]
白坂小梅 :
「そう…」
残念そうに。もちろん静かな確信を抱いてるのは別の人物だが
[メイン]
イフリータ :
なんて思うと、続いている時間、かけがえのないもの……と思えるかもしれないが。
[メイン] 白坂小梅 : 「かけがえのないものがいつかは…いつまでも一緒というわけにはいかないよね」
[メイン] イフリータ : 「……んー……」
[メイン] イフリータ : 渋そうな顔。そして、イフリータ自身の想いを考えて。
[メイン]
イフリータ :
「……いや、聞かせてくれよ
せっかくだ、肉が焼けるまで、オマエの怪談話、興味はあるぜ」
[メイン]
白坂小梅 :
「そうだね…これはシャンクスっていう妖怪の話なんだけど…」
[メイン] イフリータ : ぽりぽりと頭を掻きながら、これからの未来を考え、そういう。
[メイン] 白坂小梅 : 「この妖怪ににらまれたら髪が真っ赤に染まって、首が不当なって、左腕が腐り落ちて声も変わっちゃうらしいよ」
[メイン] イフリータ : ……それ、ゾンビみたいな物じゃねえの?
[メイン]
イフリータ :
……やっぱ、やめときゃよかった……!!!
悪夢になって、出てくる……!と、冷や汗をかき、小梅の和気藹々とした言葉を耳にするのだった。
[メイン]
白坂小梅 :
「それでね…助かるには…!」
うっきうきでその後も話をつづけた
[雑談] system : [ 白坂小梅 ] フラグポイント : 0 → 1
[メイン]
白坂小梅 :
[メイン]
白坂小梅 :
[メイン]
白坂小梅 :
[メイン]
幽谷響子 :
[メイン]
幽谷響子 :
[メイン]
幽谷響子 :
[メイン]
幽谷響子 :
どこか、不穏な空気が漂う神社に二人で足を踏み入れていた。
一人では正直怖いけど、一緒に行く?と尋ねた小梅ちゃんが隣にいてくれている。
今までも何度かこの場所に足を踏み入れたことがあった。
[メイン]
幽谷響子 :
この神社にまつわる、ホラーや恐怖体験……多くの都市伝説がここにはある。
それはつまり、私の……同類がここにはいるかもしれないということ。
そのたびに。何も……見つからなかったけど……
[メイン] 幽谷響子 : 「着いたけど……ちょっと一休みしましょーか!?」
[メイン]
幽谷響子 :
横の小梅ちゃんに声をかける。
夜の森に大声が響く。
[メイン]
白坂小梅 :
「うん…そうだね…」
始まりの予感…静かな確信を持って頷いた
[メイン] 幽谷響子 : 「やっぱり…雰囲気ありますね~」
[メイン] 幽谷響子 : 神社はさびれていた。
[メイン] 幽谷響子 : 忘れられていくもののようで、寂しい。
[メイン]
白坂小梅 :
「うん…いかにも…」
出そう。と広がる景色を見ても言いよどんでいる
[メイン] 幽谷響子 : 「…………」
[メイン] 幽谷響子 : 「ちょ、ちょっと怖いじゃないですか!!」
[メイン] 幽谷響子 : 小梅ちゃんの語り口は、私でも怖くなる……。
[メイン]
白坂小梅 :
「うん…そうだね」
大きな声が一体に残響する
[メイン]
幽谷響子 :
……夜の景色にたたずむ小梅ちゃんに。
あの日の思い出が、ふとよみがえった。
[メイン] 幽谷響子 : 昔昔の日、私は小梅ちゃんをここで見かけた。
[メイン]
幽谷響子 :
初めてみる、お寺以外の人。
それは私にあこがれを持たせるには十分で……
[メイン] 幽谷響子 : ……でも。私はずっと嘘をついている。
[メイン]
幽谷響子 :
五戒にもある、嘘はついてはいけない。
私は皆を騙してここにいた。
[メイン] 幽谷響子 : 「……慣れてる感じがあるけれど、小梅ちゃんってもしかして前にもここに来たことあったり?」
[メイン] 幽谷響子 : 知ってるけど聞いておく。
[メイン]
白坂小梅 :
「うん。ここに妖怪…が出るって噂が前に会ったから」
そういって線を超え確かな一歩を踏み出す。
伝えたい思いを伝えるための
[メイン] 幽谷響子 : キラッキラの輝きが浮かぶ夜空を見上げながら思い出し…
[メイン] 幽谷響子 : 「そ、そうだったんです!?」
[メイン] 白坂小梅 : 「その時は見つからなかったけどね…」
[メイン]
幽谷響子 :
ドキリとしながら。
……な、なんだろう、この目。
[メイン] 幽谷響子 : 一歩、足を後ろに下げる。
[メイン]
白坂小梅 :
「もしかしたら本物にあえるかもって…」
それを追うように一歩進む
[メイン]
幽谷響子 :
「で、でもー……あはは、見つかりませんね~……」
下がって、おっきな木に背中がぶつかる。
[メイン] 幽谷響子 : 「うっ」
[メイン]
白坂小梅 :
「ううん…今度は見つけた…」
[メイン] 幽谷響子 : 「……!!!??!?」
[メイン] 白坂小梅 : 「あなた、妖怪でしょ」
[メイン] 幽谷響子 : 「────!」
[メイン] 幽谷響子 : …どうしてこうなったの!?
[メイン]
幽谷響子 :
「そ、それー……どういう……」
驚きがそのまま顔に出てしまう。
[メイン] 白坂小梅 : 「みんなの前では…怖がられるか…変な人扱いされるから言わなかったけど…今なら問題ない」
[メイン] 白坂小梅 : 「私の霊感は本物で、あなたも本物の妖怪だって…わかる」
[メイン]
幽谷響子 :
「え……」
目を丸く。
[メイン]
白坂小梅 :
「だから私と…!」
肩に手を置いて強く力を込める
[メイン] 幽谷響子 : 今まで、小梅ちゃんは単にそういうもの…私のような怪異。現代であっては水のような存在達…に、理解があるだけだと思っていた。
[メイン] 幽谷響子 : それが、そんな…!?
[メイン] 幽谷響子 : 「な、なんです…っ、か…?!」
[メイン]
白坂小梅 :
「お、お、…お友達になってほしいの…!」
精一杯の勇気をもって切り出した
[メイン] 幽谷響子 : 「……へ?」
[メイン] 幽谷響子 : 「そ、それだけ?ですか?」
[メイン]
白坂小梅 :
「妖怪や幽霊って何してるかわからないしそういう未知の存在はずっと憧れでそれでも今まで見つからなかったものだからすごくうれしくて」
とりとめのない言葉をマシンガンのように吐き出し続ける
[メイン] 幽谷響子 : 「それは……その、えっと」
[メイン] 幽谷響子 : 「……う、嬉しいですっ!!」
[メイン]
幽谷響子 :
夜に一際大きな声が響く。
……言いたいことや聞きたいことはたくさんあるけど。
でも、この気持ちだけは一番大きな声で伝えないと。
[メイン]
幽谷響子 :
[メイン]
幽谷響子 :
[メイン] アーニャ :
[メイン]
アーニャ :
▼最後の大切な言葉(らすとわーど)
待ちに待った夏まつりだ。屋台がたくさんあって楽しい! 心地よい祭ばやしが聴こえてくる!
気づいたら、もうすぐ花火大会の時間だ。勇気を出して、あのことを言わなくちゃ……!
「フラグポイント」がもっとも高い俳優のキャラクターが中心となり、内に秘めた思いを明かしてください。
みんなの前で明かすのも、気になるあの子を呼んで明かすのもよしです。キャラクターの登場シーンを2組に分けて、それぞれ別の演出を行うこともよしです。
みんなで話し合って、素敵な夏まつりを演出してください。そして最後は、君たちの夏をいろどるような「らすとわーど」で締めくくりましょう。
[メイン] アーニャ :
[メイン] アーニャ : ─────夏祭り当日。
[メイン]
アーニャ :
いつもの4人で集まり、そして屋台を回りながら
楽しい日を過ごした。
[メイン]
アーニャ :
響子のちちの屋台に回って、みんなでわたあめを食べたり
バーベキューをやってる屋台で、みんなでおいしいお肉とかを食べたり
[メイン]
アーニャ :
ちょっぴりグロテスクな、ホラー映画に出てきそうな怖いお面を買って
浴衣を着た人達で賑わう公園で、鬼ごっこをしてみたり。
[メイン]
アーニャ :
夜空が綺麗で、それでいてほんの少し蒸し暑い夏祭りは
4人にとっては、間違いなく、楽しい日々であっただろう。
[メイン] アーニャ : しかし─────そんな中、アーニャは浮かない表情を浮かべていた。
[メイン]
アーニャ :
結局………みんなが抱えている悩みを、大きく解決!
……という、スパイミッションは、達成できていない。
[メイン] アーニャ : だからアーニャはみんなにこう言った。
[メイン] アーニャ : 『─────アーニャ、山で花火を見たい!』
[メイン] アーニャ : 4人以外、誰もいないような場所で。
[メイン] アーニャ : 空に色塗られる花火を、間近に見ることができるような場所で。
[メイン] アーニャ : 暗い森の中を歩きながら、進み、進み、進み─────。
[メイン] アーニャ : ……そして、頂上。
[メイン] アーニャ : どん。どん。
[メイン]
アーニャ :
空に響く、重たい音。
そして、空一杯に大きな花が咲き誇った。
[メイン] アーニャ : 4人はそれを、見つめた。
[メイン] アーニャ : ─────何を思っているか、それは……。
[メイン] アーニャ : 「……………………」
[メイン] アーニャ : 3人の方を、ふとちらりと見て。
[メイン] アーニャ : 拳を、少しきゅっと握る。
[メイン]
アーニャ :
蘇るは、自分が人の心を読めるということを明かしたことで
友達や先生から怯えられた、あの頃の記憶。
[メイン] アーニャ : 孤独になった時の記憶。
[メイン]
アーニャ :
……正直、本当の自分を晒すことは、今でも怖い。
それくらいトラウマになっている─────が。
[メイン]
アーニャ :
みんなの秘密を、悩みを発露させるのに
自分は何もしない、だなんて卑怯な真似はできず。
[メイン] アーニャ : 「─────アーニャ、お話があります」
[メイン] アーニャ : いつもの、バカみたいな明るい表情ばかりのアーニャの顔は、そこには無かった。
[メイン]
アーニャ :
どん。どん。花火の音は、まだ聞こえる。
カラフルな明かりが、その横顔を照らす。
[メイン]
イフリータ :
そらに打ち上げられた花火。
燃え盛る炎のようで、激しくも静かな花。
それを見ても……イフリータの顔色は、どこか浮かなかった。
[メイン] イフリータ : 「あぁ……? 話って……なんだよ」
[メイン]
イフリータ :
足をぶらぶら、と左右に動かし。
隣に座るアーニャへと顔を向ける。
[メイン]
白坂小梅 :
「ん…?なに…」
望みが叶ったおかげでいつもより機嫌がいい
[メイン]
幽谷響子 :
青い花火が弾ける。
響子の顔もやはり浮かなかった。
まだ話すべきことがあるのは、アーニャだけではない。
[メイン] 幽谷響子 : 「どうしたのー?」
[メイン] 幽谷響子 : いつもと違って声は大きくない。
[メイン] アーニャ : イフリータ、小梅、そして響子のそれぞれの顔を、ゆっくりと見た後。
[メイン] アーニャ : こくりと頷き。
[メイン] アーニャ : 「─────アーニャ、本当は、"物知り"じゃありません」
[メイン] アーニャ : 「テストも、宿題も、全部アーニャの力じゃありません」
[メイン]
アーニャ :
「………ううん、アーニャの力なのは、そうかもだけど
でも、本当は、違う」
[メイン] アーニャ : どん。また一つ花火が夜空に咲く。
[メイン]
アーニャ :
そして、すぅ……と息を吸う。
生暖かな空気が、肺へと取り込まれ。
[メイン] アーニャ :
[メイン] アーニャ : 「─────アーニャ、みんなの心が読めるって言ったら、驚く?」
[メイン] アーニャ :
[メイン] アーニャ : 打ち明けた。
[メイン] アーニャ : 脳裏に蘇るは、拒絶する友達の姿。
[メイン]
アーニャ :
実際、考えていることが全てお見通しにされてしまうというのは
気持ちの悪い話である。そしてそれを否定しきれないほどに
数々の状況的証拠があれば、それはもう、拒絶という感情を引き起こす他無い。
冗談であれば笑い話。そうでなければ、怪談話だ。
[メイン] アーニャ : 夏の夜風が、アーニャのピンク色の髪を揺らす。
[メイン] イフリータ : その言葉を聞き、少しだけの間、目を丸くした後。
[メイン]
アーニャ :
アーニャの言葉の意味、それは─────。
─────みんなの抱えている秘密、そして悩み、それら全て
分かっている、ということ。そして、隠さなくてもいい、という。
かなり、強引なものであった。
[メイン]
白坂小梅 :
あっという顔をしてしばらく固まり
そういえば、そうであれば説明がついた事象に思いをはせる
[メイン] イフリータ : 「へえ、やっぱりそうだったのか」
[メイン] イフリータ : ただ、それだけ。なんともないような顔で返したあと。
[メイン]
アーニャ :
「……………え」
自分で言っておきながら、その反応に、唖然とする。
[メイン] アーニャ : 重なっていたはずの、自分を気持ち悪がる友の姿が、消え散る。
[メイン]
イフリータ :
「ン……てことは宿題、オマエ写してたわけじゃねえのか!
あの時の土下座、返せよな!!」
[メイン] アーニャ : 「え゛っ!?」
[メイン] アーニャ : マスコットキャラクターのような顔になる。
[メイン]
幽谷響子 :
「そういうこともあるかもしれませんね!!」
あはは、と大笑い。
[メイン] アーニャ : 「き、響子も………」
[メイン] イフリータ : うらうらうら!と、アーニャの頭をぶるんぶるんと揺れさせて。
[メイン] アーニャ : うにゃぎゃあ~!?という悲鳴と共に、揺らされる。
[メイン] 白坂小梅 : 「…そういう…ことだったんだね」
[メイン]
幽谷響子 :
「はぁー……」
ひとしきり笑って。
[メイン] アーニャ : こくりと、小梅に頷く。揺らされながら。
[メイン] 幽谷響子 : 「イフリータちゃん、分かってたの?」
[メイン] イフリータ : ん、と響子に顔を向けて。揺らす手を止めつつ。
[メイン]
白坂小梅 :
「…でもなんで今喋る気になったの?」
僅かな困惑
[メイン]
アーニャ :
「……………」
小梅の疑問には、少し表情が暗くなりながら、俯く。
[メイン]
イフリータ :
「だってよ、なんも考えてねーような顔して、妙に察しがいいんだ
……でもそれって、心を読むことを、いいことに使ってた証拠でもあるんじゃねーの?」
[メイン] アーニャ : ちらりと、響子とイフリータを見ながら。
[メイン] アーニャ : 今、喋る気になった理由の、二人の存在。
[メイン]
アーニャ :
「………イフリータ……」
イフリータの言葉に、思わず瞳が潤み、揺れる。
[メイン]
イフリータ :
「アーニャが良いヤツだからバレたってとこかな」
ニヒッ、とアーニャに笑いつつ、響子にそう返す。
[メイン]
アーニャ :
自分が今まで隠れてやってきたことを、認めてくれた。
一切拒絶することなく、むしろ歓迎するかのように見えるそれは
アーニャの心を、大きく揺らし。
[メイン]
幽谷響子 :
「んー……あ、そうですね!!そういえば、アーニャちゃんっていつも細かく話題を変えてて……!!」
ぽんっと納得の言ったように手を打つ。
[メイン] アーニャ : ……だからこそ、胸が痛むものが、ある。
[メイン] アーニャ : 「……アーニャが言いたいのは、そういうことじゃないッ!!」
[メイン] アーニャ : 響子と、イフリータを、じっと見つめる。
[メイン] アーニャ : 服の裾を、きゅっと握り締めながら。
[メイン] イフリータ : 「は、なッ…………」
[メイン] アーニャ : 小梅の質問の答え。
[メイン]
幽谷響子 :
「……あ!」
全部読める、んだとしたら……
[メイン] イフリータ : 張り上げられた声。アーニャの、特別大きいそれに少し、体が震えつつも。
[メイン] イフリータ : 「…………」
[メイン] アーニャ : アーニャの瞳はさらに一層、潤む。
[メイン] アーニャ : 涙腺が、今にも崩壊しかけていた。
[メイン] イフリータ : ぼりぼり、と頭をバツが悪そうに掻く。
[メイン] アーニャ : 「……アーニャの口から言うのは、卑怯ッ」
[メイン]
白坂小梅 :
「…?」
心が読めぬ、満ち足りた彼女にはわからない
[メイン] 幽谷響子 : 「そっか。バレちゃったんだ……」
[メイン] アーニャ : こくりと、強く頷く。
[メイン] 幽谷響子 : それを知った上で、今まで接してくれてたってことでもある。
[メイン]
幽谷響子 :
今までどれだけのことを抱えてきたのかって考えると、胸にこみあげるものがあって……
あっこれもバレるの!?
[メイン]
イフリータ :
…………てことは、今までずっとオレサマ……
いや、オレサマだけじゃない、ここにいる全員の悩みを、抱えたまま、それをどーにかしようとしてたのか。
…………なんつーか、締まらねえな……。
[メイン]
イフリータ :
そうは思いつつも、それがバレることにも気づかず。
ちらりと、響子へと目をやる。
[メイン]
幽谷響子 :
これはだから、アーニャちゃんのくれた機会。
自分の秘密を言ってまで作ってくれた……私のために。
[メイン] 幽谷響子 : 「……実は私も、みんなに言わないといけないことがあるの」
[メイン] 幽谷響子 : 息をすうっと吸い込んで。
[メイン] 幽谷響子 : 「……ごめんなさい!!!!!!!!」
[メイン] アーニャ : 二人の考えていることに対しては、アーニャも複雑な想いになりながらも………。
[メイン] 幽谷響子 : 思いっきり頭を振り下げながら叫ぶ。
[メイン] アーニャ : 大きく謝る響子を見て、ちくりと胸が痛む。
[メイン] 幽谷響子 : 「私もね、”優等生”なんかじゃないんだよね」
[メイン]
幽谷響子 :
「ずっと、嘘吐いてて……」
ちらっと小梅ちゃんに一度目が向いて。
[メイン]
イフリータ :
「…………!」
響子の様子に、眉を曲げて。
……アイツにも、何かの……秘密が?
[メイン]
白坂小梅 :
「何もそこまで謝らなくても…」
半ば気付いていた自分も説明すべきだった
[メイン] 幽谷響子 : 「私、妖怪なの」
[メイン] 幽谷響子 : がおーっと腕を上げつつ。
[メイン] アーニャ : 「……アーニャ、怖くないもんっ、響子、友達だもん」
[メイン] アーニャ : じっと、響子を見つめながら。
[メイン]
白坂小梅 :
「それ…すごくいい…!」
興奮気味な顔を見せる
[メイン] アーニャ : ……それに、それだけじゃ……ない。
[メイン] アーニャ : 響子が、こうして人間の姿になれるのは─────。
[メイン]
イフリータ :
「…………妖怪……」
さすがに気づくことは無かった、その正体に、口をぽかんと開くも。
[メイン] 幽谷響子 : 「今日まで……今日まで、住職さんの経文で人間の子供に化けれてたんだけどねー!!」
[メイン]
イフリータ :
「…………小梅、むしろなんか……楽しがってねェか?」
ビビるわけでもなく、驚く訳でもない。
…………こうして、妖怪としても、受け入れている彼女に。
[メイン] 幽谷響子 : 「だから、今日までにみんなに言わないといけなかったんだけど……」
[メイン] 幽谷響子 : 「アーニャちゃんのおかげで、ちゃんと言う勇気が持てたよ」
[メイン] アーニャ : 「っ……………」
[メイン] アーニャ : アーニャの結ばれた口元が、へにゃりと動く。
[メイン] 幽谷響子 : 「あ、山彦の妖怪なんだけどね!ふふ…私の特技を見せてあげよっか」
[メイン]
イフリータ :
しかし、受け入れているイフリータとしても、眉を顰める。
……その言い方、まるで……
[メイン] イフリータ : 「……明日から、なんかあんのか?」
[メイン]
幽谷響子 :
『……明日から、なんかあんのか?』
イフリータの声が、そのまま響子の口から出る。
[メイン] 白坂小梅 : 「言われたことをそのまま返す妖怪だから…」
[メイン] 幽谷響子 : 「明日からは、妖怪の姿に戻るんだよね。人に化けてられるの、今日までだから!」
[メイン] アーニャ : 「…………………」
[メイン] イフリータ : うわっ!?と、投げ帰ってきた自分自身の声に、ぱちぱちと目を瞬かせつつも。
[メイン] イフリータ : 「………………」
[メイン] アーニャ : ………この夏祭りが、実質的に、4人で過ごす最後の祭り、ということであった。
[メイン]
幽谷響子 :
「学校では、重い病気になったことになる…って話だったんだけど。
皆には言えてよかった!」
[メイン]
アーニャ :
再び響子と会うことは、不可能。
住職がこうして、人里に妖怪を放つこと自体異例なのだ。
[メイン] イフリータ : 突きつけられた現実。明日からは────自分たちとは別れてしまう。妖怪と人間の差として。
[メイン]
アーニャ :
だからこそアーニャは、響子のちち、住職のことが気になっていた。
一体どんな人物であったのか。
響子も誇っていた、優しいちちに。
[メイン]
イフリータ :
喜んでたアイツも……これじゃあ……
と、ちらりと、恐る恐ると小梅へと目を向けつつ。
[メイン]
アーニャ :
「………もう会えないの、やだ」
子どもっぽい我儘として、それは発露される。
[メイン]
アーニャ :
会おうとしても、お寺の関係者に止められてしまう。
妖怪という存在が秘匿されているのは、その存在が知られ、伝染することで
より凶悪な妖を生んでしまいかねないからである。
[メイン]
白坂小梅 :
「うん…でもしょうがないよ…」
少し寂しげな顔をして
[メイン]
アーニャ :
もちろん、この事実を知ってしまった自分達も
寺の関係者に知られれば、"ただ"では済まない。
[メイン] 白坂小梅 : 「妖怪って…ほんらいそういうものだから…」
[メイン] 幽谷響子 : 「本当は、こうやっていうのも止められてたから……!」
[メイン]
アーニャ :
─────だからってそれは、諦める理由には、ならなかった。
少なくとも、アーニャはそうであった。
[メイン]
イフリータ :
「……ッ……小梅はそれでいいのかよッ!」
思わず、声を荒らげてしまう。
それは……気づけなかった自分への怒りを、小梅にぶつけてしまう。これも子供じみた、八つ当たり。
[メイン]
アーニャ :
どうにかしたい、どうにかなってほしい……!
そういう思いで、この秘密を、みんなで知り、そして考える!
そうすれば、対処方法が見つかるかもしれないから……!
[メイン] 白坂小梅 : 「私たちが…海の中で生活できないのと同じ…生きる世界っていうものがある…」
[メイン]
幽谷響子 :
自分の我儘で人里に下りてきて、こうやって皆に迷惑をかけることがとてもつらい。
俯くことしかできない。
[メイン] アーニャ : 一筋の光を求め、小梅とイフリータを見やるも─────。
[メイン] アーニャ : 「……………」
[メイン]
イフリータ :
「もう────会えないんだぞ!!」
……それは、自分自身にもまた、刺さる言葉でもあり。
苦い顔をしながらも、小梅に目を向ける。
[メイン] イフリータ : 「…………」
[メイン]
幽谷響子 :
「小梅ちゃんも、アーニャちゃんも私のことを知っても友達って言ってくれて!
私は嬉しかった!!えへへ…お寺の中でも、忘れないよ!!」
[メイン]
白坂小梅 :
「私の方も…多分もう会えないから…」
この夏の思い出としてお互いの心に残るだけでも…
[メイン] アーニャ : 「……響、子………」
[メイン] アーニャ : 子どもの、限界であった。
[メイン] 白坂小梅 : 「私、二学期には引っ越しするんだ。この街にはいない」
[メイン] アーニャ : 「………………」
[メイン] イフリータ : 「…………」
[メイン]
アーニャ :
それぞれが抱える事情、それは、子どもでは決して解決することはできない。
世を平和にするための力を持ったヒーローではない、一介の子どもでしかない。
[メイン] アーニャ : 小梅の言葉に、さらに表情を曇らせ、俯く。
[メイン] 幽谷響子 : 住職さんには、人と交わることをたくさん止められた。
[メイン] 幽谷響子 : それはこうなるからだったんだと、今更分かった。
[メイン] 幽谷響子 : 「小梅ちゃんも……」
[メイン] 白坂小梅 : 「うん…」
[メイン] 白坂小梅 : 「だからね…思い出を、ありがとう。妖怪として友達になってくれて、嬉しかった」
[メイン] 幽谷響子 : 「……!わ、私、こそ……!!」
[メイン] 幽谷響子 : 「うん……!思い出、ずっと大事にする!」
[メイン] 白坂小梅 : 「私も…絶対…!忘れない…!」
[メイン]
幽谷響子 :
「それに、ほら!二人も…」
イフリータとアーニャに顔が向いて。
[メイン] 幽谷響子 : 「二人は一緒にいられるんだから!!」
[メイン] アーニャ : 「………………」
[メイン] アーニャ : 表情は、明るくならない、その意味は─────。
[メイン] イフリータ : ボン、と音が鳴る。
[メイン]
イフリータ :
それは花火が炸裂した音に似ているが。
違う点が二つ。
一つは、近場で聞こえたこと。
もう一つは────。
[メイン] イフリータ : イフリータの手から、燃え盛る業火が現れたこと。
[メイン] イフリータ : 「ムシャクシャ……する!!!」
[メイン]
イフリータ :
花火は打ち上がったというのに、この周辺一帯は、明かりに照らされている。
火の出ていない方の手で、頭を掻きむしり。
[メイン] 幽谷響子 : 赤い炎に顔を照らされて、驚いた響子の顔が浮かび上がる。
[メイン]
イフリータ :
「……おかしいだろッ!
響子だって妖怪でもイイヤツで、人のオレサマたちとも接してくれてたし!!小梅だって、怖い話でビビらせてくるけど、イイヤツだ!!」
[メイン]
白坂小梅 :
「!?!?!!?!?」
イフリータが普通の人間と思っていた小梅はこれには動揺する
[メイン] アーニャ : メラメラと燃えるイフリータの炎は、アーニャの瞳にも反射し。
[メイン]
イフリータ :
「オレサマは、ムカついたら火が出る
体が発火するみたいに……こうして、燃えるんだよ」
[メイン] 白坂小梅 : 「よ…妖怪…?」
[メイン] イフリータ : 「"実験体"だ」
[メイン] アーニャ : 「………」
[メイン] アーニャ : その言葉の響きは、アーニャにもずっしりと伸し掛かった。
[メイン]
アーニャ :
かつての自分の姿が、目の前にいる友達が今
この瞬間にも、実験の末に苦しめられている。
[メイン]
幽谷響子 :
響子の妖怪としての感覚は、イフリータが人間であると訴えかけている。
……実験体……
[メイン]
イフリータ :
イフリータは、とある非人道的な実験によって人でありながら、妖怪のように力を扱える。
炎を操り、自由にできると言えば聞こえがいいが。
[メイン]
アーニャ :
炎を作り出す能力、当然ながらこれは、人に知られてはならない。
とある企業の実験によって作り出された、非合法的産物。
[メイン]
イフリータ :
反面、制御出来なければその力は意味が無い。
むしろ、崩壊する日常を招かざるを得ない。
[メイン] アーニャ : 「………アーニャ、知って、るっ……」
[メイン] アーニャ : イフリータを蝕む炎は今も、進行しており。
[メイン] アーニャ : ─────やがて、イフリータを飲み込むであろうことを。
[メイン] イフリータ : 「……本当に全部、お見通しなんだな」
[メイン] イフリータ : アーニャに、それを秘密にしていたこと自体で、眉を曲げつつも。
[メイン]
幽谷響子 :
「イフリータちゃん…!?」
二人の様子から、イフリータの体に良くないことが起きているのを察し。
[メイン]
イフリータ :
「……オレサマの体は、制御がどんどん出来なくなってる
今でさえムカついたら燃えるだけなのに、これからもっと酷くなる」
[メイン]
白坂小梅 :
「妖怪より…危険…?」
響子をかばうように下がる
[メイン] イフリータ : そう────正しく病のように。
[メイン] アーニャ : 「ッ………みんなで、考えれば、もしかしたら………!!!」
[メイン] アーニャ : それでもまだ足掻こうとする、もう既に、泣きじゃくりながら。
[メイン] イフリータ : 小梅の様子に、ヘッ、と笑い。
[メイン]
幽谷響子 :
「小梅ちゃん……ありがとうございます!でも、大丈夫!」
一歩前に出る。
[メイン]
イフリータ :
「そうだよ! オレサマが……怖いか?
悪魔
イフリータであるオレサマは、怖いだろ?」
[メイン] アーニャ : 「怖くないッッ!!!」
[メイン] 幽谷響子 : 「イフリータちゃんはイフリータちゃんでしょ!!」
[メイン] アーニャ : ハッキリと、そう断言する、イフリータの中に眠る悪魔を睨みながら。
[メイン]
イフリータ :
チカチカ、燃える炎を揺らし、三人に見せつけるように。
…………どうせ、つまんねームードで別れるくらいなら、オレサマが嫌われればいいよ。
[メイン] 白坂小梅 : 「怖がらせるようなことして怖い?…って聞くのはバカ」
[メイン] イフリータ : 「…………ッ!」
[メイン]
幽谷響子 :
「妖怪の私だって、心が読めるアーニャちゃんだって受け入れてくれる、優しいイフリータちゃんでしょ…
今度は私たちが受け入れる番…!」
[メイン]
アーニャ :
そして、イフリータの腕を掴む。
もしかしたら、炎が自分を焼いてしまうかもしれないというのに
……そんなリスクは、今のアーニャにとっては、これっぽっちも怖くなかった。
[メイン] アーニャ : 一番怖いのは、"孤独"。
[メイン] アーニャ : 「……イフリータ、優しいもん」
[メイン]
イフリータ :
…………クソ。
分かってたの……かも、しれねぇ。
こうして、"友達"のコイツらが、止めようとしてくれんのも………………
[メイン] イフリータ : だからっつって…………ここで、ソイツらを……オレサマに巻き込むのか?
[メイン] イフリータ : 「……うるせェッ!!!!!!!!」
[メイン] アーニャ : 「巻き込んでいい」
[メイン] アーニャ : イフリータの怒号を拒絶するように、断言する。
[メイン]
イフリータ :
大声を、張り巡らせる。
イフリータの感情の高まりにより、手から現れる炎が、燃える、燃え盛る。
アーニャが掴んでいた手も……飲み込みかけるように。
[メイン] アーニャ : 「アーニャ、熱くないっ」
[メイン]
幽谷響子 :
…っ。
ビリビリと来るような音には、響子でも震えるような気迫を感じる。
[メイン]
イフリータ :
「……ッ!!」
…………わかるわけ、ねえだろ!!オレサマのことなんて!!!
[メイン] アーニャ : やせ我慢ではあった。その熱気は確実に、アーニャに生命危機を覚えさせていた。
[メイン] アーニャ : 「……わかる」
[メイン] イフリータ : じりじりと、焼ける肉の匂いに、顔を顰めっ面にしながらも。
[メイン]
アーニャ :
「だってアーニャも、みんなに嫌われて
この力のこと、怖い人達に知られて」
[メイン] アーニャ : 「─────"実験体"になったから」
[メイン] イフリータ : 「…………………………は、っ……」
[メイン] イフリータ : 炎が、揺らぐ。
[メイン] アーニャ : 「……わかるよ」
[メイン] アーニャ : イフリータの手を優しく包む。
[メイン]
イフリータ :
…………ずっと、そうだったのか……
それも……気づいてなかったのか……
[メイン] イフリータ : 「…………アー、ニャ」
[メイン]
イフリータ :
燃え盛る炎が、徐々に薄まっていき。
そこからイフリータの、火傷ひとつない腕が現れつつ。
[メイン] イフリータ : 「………っ、う、うううぅ………………」
[メイン]
イフリータ :
包まれた両手を、掴むように握り。
よろよろと、膝を付く。
[メイン] アーニャ : イフリータの体を支えるように、もう片方の手をイフリータの背に。
[メイン]
イフリータ :
「……クソ、クソぉぉぉ…………
……なんで、オマエは、オマエらは…………
イイヤツ、なんだよ…………」
[メイン]
アーニャ :
アーニャの心の苦しみが分かるからこそ……。
アーニャもまた、涙を溢さずには、いられなかった。
[メイン]
イフリータ :
消える炎のように、か細い声を出しながら。
────ぽたぽた。地面に、点々としたシミが作られる。
[メイン] アーニャ : 大粒の涙が、夏の夜の大地を湿らせていった。
[メイン]
イフリータ :
……友達なんて、イフリータにはこんな性格で出来るわけがなかった。
なれたとしても、果たしてその友を焼き尽くさないという心配がどこにある?
[メイン]
イフリータ :
ずっと不安を抱えていた。
だからこそ……その不安すらもお見通しのまま、拒絶しない、アーニャ。彼女が手を伸ばしてくれたことに、唇を、ぎゅっと噛んで。
[メイン]
イフリータ :
「…………ありがと…………」
顔は見せず、その手に寄りかかり。
包み込む手に、涙を落とす。
[メイン]
幽谷響子 :
「声も、気持ちも、こだまになって帰ってくるそうです」
寄り添う二人を見て、ほっと息をつきつつ。
[メイン]
幽谷響子 :
因果応報と住職さんは言っていた。
友達のために泣けるイフリータちゃんが、自分のために泣いてくれる友達に恵まれるのもそういうことだろう。
[メイン]
アーニャ :
イフリータに、涙目ながら、満面の笑顔を向けながら。
響子の言葉に、どこか心の安寧を取り戻しつつ。
[メイン] アーニャ : 「…………最後の、夏っ……いっぱい、楽しまないとっ……!」
[メイン] アーニャ : せめて、悲しいだけで終わらせるのは、嫌だから。
[メイン] アーニャ : みんなと一緒にいるこの瞬間は、笑顔の思い出であってほしいから。
[メイン]
イフリータ :
「オマエらも、脅かして……すまん」
ぐしぐし、と涙を拭いて、泣き目ながらも、向き直り。
……燃る悪魔を受け入れてくれた、小梅、響子に、頭を下げつつも。
[メイン]
イフリータ :
アーニャに、頷く。
……こんなもの、使うわけもない、と思ってたのに。
別れっていうのは、逃げられないもんなんだな……
[メイン]
幽谷響子 :
「イフリータちゃんは友達ですから!!」
陰気を吹き飛ばすような大声を出す。
頑張って涙声にはならないように気を付けて。
[メイン]
幽谷響子 :
遠くを見ると、連弾の花火が撃ちあがっていた。
予定では、最後の一番大きな花火がもうすぐ撃ちあがるはずだ。
[メイン] イフリータ : ばんばん、となる花火に目を細め。
[メイン] イフリータ : 「…………オマエら!やるぞ!」
[メイン]
アーニャ :
イフリータの意図は、すぐに分かった。
心を、読むまでも無かった。
[メイン]
イフリータ :
ん!と、手を掲げる。
その手には────一つの白いカメラが。
炎によって焼かれたのか、少し黒ずむ所はあるが。
[メイン] アーニャ : 「……うん!」
[メイン]
アーニャ :
涙を、袖でゴシゴシと拭き。
そして─────イフリータの持つカメラへ、にこっ!
[メイン]
幽谷響子 :
アーニャと小梅に抱き着くようにして、肩にぐいっと腕を回して。
そして─────イフリータの持つカメラへ、にこっ!
[メイン] 白坂小梅 : 間に挟まれながら泣き笑いでカメラに映る
[メイン]
イフリータ :
そして────響子、アーニャ、小梅。
三人の前に座り、グッと気持ちを噛み締める。
[メイン] イフリータ : そして─────自らの持つカメラへ、にこっ!
[メイン]
:
────ドォン。
────カシャ。
[メイン] : シャッター音と、花火の炸裂した音が混じった。
[メイン]
:
小さなシャッター音は、花火の壮大な音に掻き消えてしまうほどかもしれない。
けれども────ここに確かに、証拠が残る。
[メイン]
:
────"嘘をついてはいけない"
今まで言い出せなかった「あのこと」。
夏まつりの日に勇気を出して、それを分かち合えた────「友達」であった、証拠が。
[メイン]
:
離れ離れとなり、永劫の別れとなる厳しい現実を前にしたとしても
頑張った証というのは、決して消えることはない。
それぞれの大事なものは、ここにあるのだから。
[メイン] : そして、花火のように色の異なる四人の大長編物語は、まだまだ続く。
[メイン] : 故に、この物語は───
[メイン] :
[メイン] :
[メイン] : “新たな芽吹き”
[メイン] :
[メイン] :